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【テレワークと生産性】低下する4つの要因と有効な対策を解説

公開日:2021.12.21 更新日:2023.10.03

働き方改革や新型コロナウイルス対策の一環として、日本国内の企業でテレワークを実施する組織が増加傾向にあります。

組織の多様な人材雇用や従業員のワークライフバランス向上につながるとされるテレワークですが、一方でテレワークの取り組みそのものが生産性を低下させる要因になっているという話もあります。

テレワークによって生産性が低下してしまうのには、どのような理由があるのでしょうか。今回はその原因と対策について、ご紹介していきます。

なぜ日本だけが生産性が低下?世界10カ国中最下位の日本

テレワークの導入による生産性については、実は地域差が国によって表れているのが特徴です。日本はテレワーク導入によって生産性が低下しているとされる国の中の一つで、ワーストクラスの生産効率性を抱えているのが現状です。

着実に導入拡大するテレワーク

日本におけるテレワークの導入率は、ここ数年で大幅に拡充しつつあります。総務省が発表した統計によると、2020年時点でテレワークを導入している企業は前年比で2倍以上にもなる47.5%を達成しています(※1)。

特に情報通信業界では圧倒的な導入率を誇っており、9割を超える企業が導入しているとしています。業種別での導入状況にある程度の差はありますが、IT関連企業は対面での業務の必要性がなく、テレワークをサービスとして提供している企業も多いため、積極的な導入を進めていると考えられます。

とはいえ、日本全体で見るとまだまだテレワークの普及率は半分程度に止まっているともいえ、新型コロナウイルス感染拡大が落ち着き始めている昨今では、テレワークから対面での業務遂行に戻っているという企業も増えつつあります。

また、テレワークが可能な環境にありながら、テレワークを実施していない企業も少なくありません。テレワークを導入しない理由については様々ですが、その一つとして挙げられるのがテレワークによる生産性の低下です。

※1:総務省「令和2年通信利用動向調査のポイント」p.1

日本の生産性は世界10カ国中最下位

テレワークは新しい働き方の一環として推奨されている業務形態ですが、必ずしも常に確かな成果を保証してくれるとは限りません。場合によってはかえって生産性の低下を招く場合もあり、日本ではそんなテレワークの悪影響を顕著に受けている傾向にあります。

コンピュータ関連メーカーのレノボが発表した調査結果によると、日本、米国、ブラジル、メキシコ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、中国、インドという10の国の中で、在宅勤務時の生産性がオフィスでの執務時に比べて低いとの回答が最も多かったのが日本です(※2)。

10カ国での平均が13%であったのに対し、日本は40%に達しており、過半数ではないとはいえ、無視できない割合でテレワークに改善が求められていることがわかっています。

※2:PRTimes「[プレスリリース]Withコロナ時代、在宅勤務の拡大にテクノロジーが貢献」

テレワークの生産性を高める工夫が必要

テレワークの生産性が今ひとつ上がらない理由としては、様々な要因が考えられます。同調査では生産性が上がらない要因として、テレワーク実施に必要な機材購入などの費用負担を会社がまかなってくれず、自費購入の割合も少ないなど、設備投資の不足が見られています。

テレワークはただ働く場所を家に変えれば良いというわけではなく、オフィス以外の場所でも効率よく働ける環境づくりが求められます。そのためには設備投資や会社制度の改革も必要になるため、そのための準備を進めておきましょう。

テレワークで生産性が低下する要因4つ

ここで、もう少しテレワーク環境下における生産性低下の原因について、深堀りしておきましょう。主な原因になるのが、以下の4つです。

業務進捗の把握が難しい

1つ目は、業務の進捗管理が困難である点です。これまでオフィスで業務を行ってきた場合、口頭で進捗を確認したり、目視で進み具合を把握することができました。

しかしテレワークだと従業員の進捗をリアルタイムで確認することが難しくなるため、スケジュールより工数がかかっていた場合、早急な対策ができないというケースもあります。

管理職の人にとっては、オフィス勤務時とは異なるマネジメントシステムの構築が求められるため、既存の方法では生産性が下がってしまうのも無理はありません。

②業務プロセスが不明瞭

進捗管理が難しいだけでなく、業務プロセスもテレワーク向けに再設計する必要があるでしょう。テレワークの場合、環境が変わったことで従来の方法で承認作業などを進めることが難しくなるケースもあり、行き当たりばったりの進め方になってしまうこともあります。

オンライン環境でも確実に遂行ができるような、新しい仕組みづくりを進めなければいけません。

コミュニケーションの質・量が不足

テレワーク環境では自宅で業務を遂行することも多く、その場合は一人で仕事と向き合うことも増えてきます。

オフィスではコミュニケーションも気軽にとれていたため、わからないことがあった際にはすぐに質問することができましたが、テレワークだとこういった機会も大幅に失われてしまいます。

質問や確認にいつも以上に時間を必要としてしまう機会が増え、そのせいで業務を前に進められず、生産性が低下してしまうというケースもあるでしょう。

テレワークを行う環境が整っていない

そもそも、業務遂行に十分な環境が整っていないと、業務に特化した空間であるオフィスに比べて生産性が下がってしまうのも無理はありません。

高速のネット回線が開通していない、複合機がなく、コンビニまでプリントアウトのたびに走る必要がある、周りに私物があって気が散ってしまう、仕事用のデスクがなく食事用のテーブルで働いているなど、人によって改善点は様々です。

少しでもテレワークの効率を高めるためにも、こういった設備投資に時間とお金をかけられる余裕を持つことは非常に重要です。

それでもテレワークを行うメリットとは?

上記のような改善点を抱えつつも、これらと正面から向き合い、テレワークの遂行に努めることで、大きなメリットが期待できます。テレワークを実行するメリットについて、改めて確認しておきましょう。

ワークライフバランスが向上する

テレワークを実施する大きなメリットの一つが、ワークライフバランスの向上です。これまでのオフィス中心の働き方の場合、オフィスに近いところに住居を構える必要があったり、オフィスまでの通勤負担があったりと、生活の支障となりうる要素も少なくありませんでした。

しかしテレワークを実施することによって、自分の生活にとって都合の良い場所で働くことができるようになるため、仕事と生活のバランスを整えやすくなります。

優秀な人材の確保

テレワークは合理性の高い働き方でもあるため、個人のパフォーマンスを最大限発揮するための方法としても有効です。オフィスに通う必要のない業務や、一人でもこなせる業務の場合、彼らのためにオフィスを提供する必要はありません。

不要な業務は最小限に抑えたいと考えられる合理的な人物に魅力を感じてもらえる働き方を実現する上で、テレワークの導入は非常に有利に働きます。従業員の主体性を尊重できるため、彼らが伸び伸びと活躍できる場作りにも最適です。

コストの削減

テレワークの導入は、オフィス運営にかかるコストを削減するのにも最適です。テレワークを導入すれば、各社員がオフィスへの出社頻度を減らすことができるため、収容人数にこだわる必要はなくなります。

データベースのデジタル化も進めることでペーパーレスを実現し、複合機のリースや印刷用紙を削減、さらには文書の保管スペースも減らせます。

結果的に、より小規模なオフィスでも業務を遂行できるようになるので、賃貸負担を削減することにも役立ちます。

事業継続性の確保

テレワークの推奨は、BCP対策の観点からも有効です。自然災害などの理由でオフィスが機能しなくなる、というケースは災害大国である日本にとっては現実的な脅威と言えます。

オフィスに依存した働き方を採用していると、いざ地震や津波、火事などでオフィスが使えなくなった際、業務遂行は困難になってしまいます。

こういった事態を避けるためにも、テレワークを導入して社員が自宅で働ける環境を整備しておけば、災害があった際にも最低限の被害を受けるだけで抑えられます。

テレワークが生産性の向上に寄与するケースも

テレワークの導入は、生産性をかえって低下させるという結果がある一方、実際にはテレワーク導入による生産性向上が得られたという調査結果も存在します。

総務省が2017年に発表した調査によると、テレワークを導入している企業の方が、直近3年間に業績が増加傾向にある企業の比率が高く、また減少傾向にある企業の比率が低くなっていた、という結果が見られました(※3)。

テレワークの導入によって労働生産性が向上し、効率的な企業活動が可能となるとともに、それが売上高の拡大などの良好な企業業績につながるというサイクルを確立できているのが要因と考えられており、上述の結果とは対照的と言えます。

新型コロナ以降の調査結果と対照的な結果となったのは、2017年時点でテレワークを実施している企業の先進性に要因があると考えられます。

新型コロナ以降はテレワークに興味がなかった企業もテレワークを余儀なくされ、ノウハウもない中半ば強制的に進めていくこととなりました。一方で2017年時点でテレワークに取り組んでいる企業は、いずれも主体的なテレワークを実践し、前もって環境整備などに投資し、制度上の整備も進んでいたことが考えられます。

つまり、テレワークそのものが生産性を低下させるのではなく、テレワークとの向き合い方次第で、最大限のメリットを享受できるというわけです。成果につながる取り組みを実践することが、テレワーク成功のポイントです。

※3:総務省「第1部 特集 データ主導経済と社会変革」

テレワークで生産性を向上させる対策とは?

最後に、テレワークの生産性を高めるための取り組みについて、対策をご紹介します。

業務報告をする頻度を増やす

1つ目は、業務報告の頻度を増やすことです。報連相のルールをオフライン以上に徹底し、円滑なコミュニケーションができるよう仕組みを整備しましょう。チャットツールの導入など、コミュニケーションを円滑にするためのサービスの利用も効果的です。ルールだけではなく、ツールによって直接効率化を進めていきましょう。

業務プロセスを明文化する

2つ目に、テレワークに特化した業務プロセスの明文化です。従来のワークフローの延長線上としてテレワークを遂行するのではなく、テレワークに特化した枠組みを新たに設け、活用していきましょう。

業務プロセスを明文化しておけば、従業員は余計な質問や承認作業を必要とすることなく、スムーズに作業を進められます。

テレワーク手当を導入する

テレワークの実施に当たって、環境整備に必要な手当を支給することも重要です。企業が各社員にモニターやデスク、ソフトウェアを提供したり、それらを購入するための費用を支給し、自己負担を小さく抑えられるよう取り組みましょう。

生産性が高まるテレワークへ

テレワークを無理やり進めてしまうと、思わぬ生産性の低下を招く事態となります。テレワークのポテンシャルを最大限高めるためには、環境と制度を整え、ハードとソフトの両面から整備していく必要があります

自社で検討すべき課題を整理し、ソリューションの提供に努めましょう。

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