リモートワークで対面コミュニケーションが減少|日本の現状と実施する企業の本音

2020年4月に発令された第1回目の緊急事態宣言から1年超が経過し、リモートワーク(テレワーク)も定着してきた感があります。コロナ禍以前と比較して、圧倒的にその機会が減少したのが対面コミュニケーションです。

減少したことで現場や会社にいま何が起きているのか、リモートワークを実施し1年が経過した会社の役員と従業員の本音を公開します。

リモートワークの実施状況

まず始めに日本のリモートワーク実施状況について簡単に触れたいと思います。

リモートワークが定着しつつあるように思える日本ですが、実際の実施状況はどのようなものなのでしょうか。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングが厚生労働省の委託を受けて行った、「テレワークの労務管理等に関する実態調査(速報版)」の企業調査結果を参考に、その状況を読み解いてみます。

厚生労働省:テレワークの労務管理等に関する実態調査(速報版)8p

こちらの調査によると、テレワーク(在宅勤務)の導入・実施状況は2020年7月の時点で「会社の制度として認めている・会社の制度はないが、実施する従業員がいる」と回答した企業は合わせて34%、「導入・実施していない」と回答した企業は65.3%となっています。

厚生労働省:テレワークの労務管理等に関する実態調査(速報版)11p

また、リモートワークの実施割合については、「1割以下・2割程度・3割程度」と回答した企業の数が全体の60%を超えており、「6〜7割程度・8割以上」と回答した企業の数は全体の20%以下に留まりました。

これらの結果から、日本企業のリモートワーク状況は「導入していない企業の方が多く、実施割合は3割以下の企業が半分以上を占めている」ということがわかります。

リモートワークを実施できない理由

厚生労働省:テレワークの労務管理等に関する実態調査(速報版)12p

同調査の中でリモートワークを実施できない理由として最も多く挙げられていたのは、「できる業務が限られているから」でした。7割近い企業が理由として挙げており、多くの企業が業務遂行上の理由からリモートワークを実施できないことがわかります。

通勤負担軽減や人件費削減、紙や印刷コストの削減に大きな効果

厚生労働省:リモートワークの労務管理等に関する実態調査(速報版)14p

同調査によると、リモートワークを実施できている企業はさまざまな効果を実感しています。

その中でも導入した当初に掲げていた目的以上に生じた効果が大きかったものとして挙げられていたのが、「従業員の通勤負担の軽減」や「人件費の削減」「紙や印刷コストの削減」など。

このことからコストといった定量面の削減だけでなく、通勤負担といった定性面の負担削減にも大きな効果をもたらしていることがわかります。

リモートワーク対象は職種に大きな偏り

厚生労働省:テレワークの労務管理等に関する実態調査(速報版)19p

同調査によると、リモートワーク対象者の割合は職種によって大きく異なることが報告されています。

事務職、営業職は共にリモートワーク対象者の割合が高く、在宅勤務に限ると事務職のリモートワーク対象者率は78%と8割近い数値となっている一方で、販売職やサービス職、運輸職・保安職はリモートワーク対象者の割合が5%に満たないケースも多いです。

このことから、リモートワーク対象者の割合は職種によって大きな偏りがあることがわかります。

リモートワーク実施中に感じる課題

続いて、“リモートワーク実施中に感じる課題”について見ていきましょう。前段で参考にしていた調査資料をもとに、“その中でも課題感として特に大きいとされているもの”を取り上げてみます。下記の資料をご覧ください。

厚生労働省:テレワークの労務管理等に関する実態調査(速報版)40p

業務が限定されてしまう

同調査の中で課題として挙げられている割合が最も高かったのが、「できる業務が限られている」ことでした。実に63.8%もの企業が、リモートワークにおける課題として“業務が限定されてしまうこと”を挙げています。

「できる業務が限られてしまうこと」は、前段の“リモートワークを実施できない理由”でも最も多く挙げられていました。リモートワークを実施できたとしても、業務の幅が限られてしまうことは依然として大きな課題となっているようです。

コミュニケーションが取りづらい

「できる業務が限られてしまうこと」に次いで多く挙げられていたのが、コミュニケーション上の問題でした。48.4%の企業がリモートワークにおける課題として「従業員同士の間でコミュニケーションが取りづらい」ことを挙げています。

リモートワークはメールや電話といった非対面でのコミュニケーションが基本となります。些細なやり取りでも文章考案や架電が必要となる影響で心理的なハードルが高く、対面のような気軽なコミュニケーションは行いにくいのが実情です。

書類の電子化

リモートワークの実施中に感じる課題として3番目に多く挙げられていたのが、「紙の書類・資料が電子化されていない」でした。リモートワークではネットワークを介して業務を遂行するため、必要な書類や資料は基本的に電子化されている必要があります。

電子化されていない場合、出社が必要となり業務を一時中断しなくてはいけません。あらかじめリモートワークに必要な書類や資料の洗い出しを行い、電子化を完了しておく対応が求められます。

リモートワーク|実施企業側の本音

ここまで、日本企業におけるリモートワークの実施状況や感じている課題などについて触れてきました。ここからは、実際にリモートワークを実施している企業の本音について紹介します。

筆者が所属しているワウテック株式会社に話を伺いました。ワウテックでは、コロナ禍以前よりリモートワークを行なっています。

2021年6月18日時点の緊急事態宣言下では多くの従業員がリモートワークを実施しており、全体の従業員数が約50名ばかりの規模ながら、出社人数が5人以下の日もあるほどリモートワークが浸透しています。

このようにリモートワークの実施率が高いワウテック社ですが、企業側の“本音”はどのようなものなのでしょうか。執行役員を務めるN氏に話を伺います。

対面コミュニケーション不足で浮き彫りになる課題

ーー対面コミュニケーション不足によってどのような課題が浮き彫りになりましたか?

N氏:マネジメントを行う上で“メンバーの変化を感じにくいこと”が大きな課題として感じられます。

私の部署では朝礼や終礼などを行い音声での接点を持つようにしていますが、やはり声だけだと伝わりにくいことも多く、メンバーの困っていることやモチベーションの状態を正確に把握するのは難しいです。

ビデオ会議を活用すれば対面に近いコミュニケーションを取れますが、上司として部下に対し「ビデオのON/OFFを強制すること」はなかなか難しいので、やはり音声主体のコミュニケーションになってしまいます。

また、仕事のスピード感や正確性においても、対面コミュニケーションのほうが優れていると感じる瞬間はあります。

ライトなコミュニケーションはチャットを活用することで円滑に行えますが、ボリュームの多い話題を話すときや深い相談が必要な場合はリモートワークだと距離を感じてしまうので、対面と同じクオリティでコミュニケーションを取るのは難しいと感じますね。

リモートワーク期間中の工夫

ーーリモートワーク期間中、どのような工夫をされていましたか?

N氏:環境面としては自宅の作業環境を整えるようにしました。会社のモニターを持ち込んだり、マウスをよいものに変えたり、デスクライトを設置して光量を確保したりなど、自宅の作業環境を会社と同じレベルに整えることで作業効率の維持を心がけています。

また、リモートワーク中は体を動かす機会が減ってしまうので、自ら体を動かす機会を作るようにして体調管理に気を配っています。

リモートワーク中のコミュニケーション活性化のコツ

ーーリモートワーク中のコミュニケーション活性化にあたってコツなどはありますか?

N氏:強制的にでもコミュニケーションの機会を設けるようにしています。

毎朝朝礼を行ったり、午前中の業務が終わったら昼休み前にフィードバックの時間を設けたり、1日の終わりに終礼を行ったりなどして、1日の中でメンバーとコミュニケーションを取る機会を必ず設けています。

チャットコミュニケーションの有効性

ーーチャットコミュニケーションの有効性はどのように感じられていますか?

N氏:ライトなコミュニケーションに使うツールとしてはとても有効だと感じています。

電話は相手のタイミングによっては繋がらなかったり、折り返しをお願いしたりと機会損失が多いですし、メールも挨拶などの文章を入力する手間がかかるので、気軽なコミュニケーションには利用しづらいです。

その点チャットであれば相手の状況に関わらずやり取りができますし、メールの堅い挨拶文なども不要なのでテンポよくコミュニケーションが取れます。

ボリュームの多い内容には不向きですが、簡単な報連相などライトなコミュニケーションには非常に便利なツールだと感じますね。

また、移動時間に仕事ができることもチャットの特徴だと感じます。私は営業関連の部署を統括しているのですが、職種柄、電車移動の時間が長い日もあります。

そんなときもチャットであればスマートフォンから返信ができます。急ぎの連絡にも対応できるため、移動の影響で仕事を止めてしまうことが少なくなりました。移動時間を効率よく使えていると感じますね。

リモートワーク|従業員側のホンネ

従業員側の本音については、従業員として勤務している筆者の所感を紹介します。

対面コミュニケーション不足を感じる瞬間

業務のすれ違いを感じたときに、コミュニケーション不足を実感します。テキストコミュニケーションでは交換できる情報が限られているため、細かい部分の擦り合わせが曖昧になりやすく認識の齟齬を生むことがあります。

認識の齟齬から業務が振り出しに戻ることもあり、そういったときは「対面で話していれば細かいところまで確認できたかもしれない」と感じます。

出社(通勤)について

通勤出社に関しては、メリットとデメリットの両方があると感じています。

メリットについては、やはり対面コミュニケーションを取れることが大きいです。対面であれば、些細なことから深い内容の相談まで幅広いコミュニケーションを円滑に行えるので、業務上必要なやり取りを素早く遂行できます。

また、社内の状況がわかることもメリットだと感じます。出社をしていると、他部署の方々の会話が耳に入ったり、気軽な雑談から業務とは直接関係しない会社の現況が聞けたりなどして、さまざまな情報が収集できます。

リモートワークでは業務に必要と思われるコミュニケーションしか取らないので、こういった情報を副次的に得られることは出社ならではのメリットだと感じます。

デメリットについては、通勤の時間がもったいなく感じられることでしょうか。往復で2時間近くかかるため、リモートワークであればその分の時間を家事や趣味の時間に充てられたことを考えると、時間がもったいないように感じられます。

管理と生産性はどう感じる?

マネジメントを受ける側の立場として、業務の生産性を落とさないために「報告・連絡・相談」を出社時よりも精度高く行う必要はあると感じます。

そうしなければ自分がやった仕事をマネージャーに見てもらえないですし、何かあって相談するときも報連相の精度が低いとマネージャーが指示を出しづらくなってしまい、結果として自分の生産性に悪い影響を与えてしまうからです。

一方で、報連相の精度を高めることに時間が割かれてしまい通常の業務が滞るかというと、そうではないと感じます。必要な情報だけを報告・連絡するためそれほど大きな手間には感じません。

また、1人で集中して作業に取り組めるので、報連相に時間が割かれたとしても業務内容によってはリモートワークのほうが生産性が高いと感じることもあります。

チャットコミュニケーションの有効性

チャットの特長である“意思疎通の速さ”はリモートワークの効率化にとても有効だと感じます。

リモートワークでは素早く業務を進めるためにテンポよくコミュニケーションを交わす必要があるので、チャットのように会話形式で気軽にやり取りができるのはありがたいです。

上司に指示を仰ぐ場面でも、気軽に尋ねられてすぐに回答がもらえるので業務を止めている時間が短くて済みます。

また電話や対面での会話と違いチャットはログが残されているため、指示内容の再確認もしやすいです。聞き直す回数が減るので、滞りなく業務を進められます。

リモートワークの成功に向けて

リモートワークを実施する企業の本音から、対面コミュニケーションの不足によって感じている課題や通勤(出社)のメリット・デメリット、チャットツールの有効性など、企業が行うリモートワークの実情を知ることができました。

ここからは、これまで紹介してきた情報をもとにリモートワークを成功させるためのポイントを3つに絞って解説します。

①ビジネスチャットで円滑なコミュニケーション

1つ目のポイントは「ビジネスチャットを活用すること」です。ビジネスチャットとは企業向けに作られたチャットツールのこと。個人SNSのように会話形式でテンポよくやり取りを交わせます。

迅速かつ気軽にコミュニケーションが取れるため、リモートワークの課題であるコミュニケーション不足の解消に効果的です。

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②オンライン会議で1on1ミーティング

2つ目のポイントは「オンライン会議で1on1ミーティングを実施すること」です。

リモートワークの実施下において、部下のマネジメントはそう簡単なことではありません。対面と比較して得られる情報が限られているため部下の心理状況を知ることが難しく、モチベーションの管理が難しいからです。

1on1ミーティングを行うことで部下が感じている不安や不満といった感情を敏感にキャッチアップでき、さらに定期的に行うことで部下が抱えている業務上の課題も素早く発見・解消できます。

より深い部分でのコミュニケーションが実現することで上司と部下の信頼関係が厚くなり、リモートワークにおけるマネジメントの質を担保することが可能です。

一般的にオンライン会議はWeb会議ツールで行われますが、ビジネスチャットにも“ビデオ通話機能”が搭載されているものがあります。

日常のコミュニケーションツールであるビジネスチャットからオンライン会議ができるため、ツールを新たに増やすことなくオンラインの1on1ミーティングを実現できます。

③タスク管理や日報で業務の進捗管理

3つ目のポイントは「タスク管理や日報を活用して業務の進捗管理を行うこと」です。リモートワークでは対面でコミュニケーションが図れないため、業務の進捗状況は関係者全員がわかるように可視化して共有する必要があります。

そのときに役立つのが“タスク管理”や“日報”です。これらの機能を活用することによって、関係者に対してプロジェクトや業務の進捗状況を簡単に共有できるようになり、認識のすれ違いや共有不足による業務の遅延などを防止できます。

まとめ

“コミュニケーションを取りづらいこと”はリモートワークの実施における大きな課題です。コミュニケーションが取りづらいことによって部下のマネジメントが難しくなったり、業務におけるすれ違いが生まれてしまったりなどさまざまな問題が発生します。

コミュニケーションを円滑化するためには、ビジネスチャットやオンライン会議による1on1ミーティングの活用が有効です。リモートワークのコミュニケーションに課題を感じられている方は、ぜひこれらの活用を視野に入れてみてください。