中小企業がテレワークを始めるべき理由。WORK SMILE LABO石井代表×ワウテック特別対談【前編】

「働き方改革関連法」の施行から多くの企業で柔軟かつ「生産性の高い」働き方が求められるようになりました。また、この数年の間で「自然災害」や「新型感染症」をはじめ、未曾有の事態が日本、そして世界中で発生しています。

「今までになかったこと」が突如訪れることも想定しなければならず、仕事においてもそれは同様です。

年功序列や終身雇用、出社が必須の職場環境などの働き方、バブル期のようなハードワーク……「従来の働き方の崩壊」という文脈で語られることの多いキーワードですが、現在でもこうした企業があるのも事実。

日本の99.7%が中小企業といわれていますが、働き方にメスを入れるなら、中小企業が柔軟かつ先進的な制度やツールを取り入れることが大きなインパクトとなるでしょう。

そこで、「中小企業の笑顔溢れるワークスタイルモデルカンパニーになる!」をビジョンとして掲げている株式会社 WORK SMILE LABO(以下、「WORK SMILE LABO」) 代表取締役 石井聖博 様と、ワウテック株式会社(以下、「ワウテック」)の代表取締役 瀬沼悠、同社マーケティング部 部長 髙野大寿による「中小企業とテレワーク」について対談を行いました。

※ 当対談は2020年4月28日、緊急事態宣言下においてWeb会議ツール「Zoom」を用いて行ったインタビューとなります

政府による「緊急事態宣言」でビジネスはどう変化したのか

ワウテック株式会社 マーケティング部 部長 高野大寿(以下、「ワウテック 高野」):

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2020年4月7日に政府より「緊急事態宣言」が発令されました。多くの企業がそのタイミングで「原則テレワーク」への移行を始めました。

未曾有の事態ということもあり、制度もままならぬままテレワークへ移行したことで「働き方」に課題を感じているという声を耳にすることがあります。

そこで、緊急事態宣言以前より柔軟な働き方に取り組んでいるWORK SMILE LABO 様と、当社(ワウテック)ではどういった変化があったのかをまずお話いただきたいです。

株式会社WORK SMILE LABO 代表取締役 石井聖博 様

株式会社WORK SMILE LABO 代表取締役 石井聖博 様(以下、「WORK SMILE LABO 石井 様」):

緊急事態宣言が発令される2ヵ月前から徐々に、「このままでは通常どおりの業務が行えない」というイメージをしていました。WORK SMILE LABOは、私たち自身の働き方をロールモデルとしてお客様に働き方のご提案や製品のご紹介をしていますので、緊急事態宣言下において従来と同等の水準で働ける方法を模索していました。

例えば、それまでは対面形式のセミナーを開催していましたが、Web会議ツールを利用したオンラインセミナーへの切り替えを行い、訪問営業にもそうしたツールを用いてオンライン訪問の取り組みを開始したのです。

かつての当社では「オンラインセールス」は“遠方のお客様向け”に用いており、地域密着型の企業様であれば「対面でお打ち合わせしましょう」となる機会がほとんどです。対面形式でのセミナーや商談が成立しなくなることがイメージできたタイミングでお客様に連絡し、切り替えていただきました。

ワウテック 高野:

セミナーや営業のオンライン化に踏み切られたのですね。では、自社内での変化に関してはいかがでしょうか? 自粛に伴うテレワークはスムーズに移行できましたか。

WORK SMILE LABO 石井 様:

原則テレワークとしつつ、出社が必要となる業務を担っているメンバーに限りシフト制のような形での勤務形態へと移行しました。そこで意外な発見があったのですが、「出社したい」と感じるメンバーが多くいたことです。

これは、「良い」か「悪い」かというものではなく、「緊急時のほぼ強制的なテレワーク」なので、出社できないことにより「テレワークせざるを得ない状況」と感じるわけで、生産性が当然下がってしまうんですよね。出社前提の働き方が通常だとすれば、その通常のパフォーマンスが発揮しづらい状況になってしまうわけですから。

本来のテレワークというのは、「働き方の多様性」がとても重要な要素となります。

具体的に挙げるとすれば、女性が結婚・出産などライフステージと合わせて働き方を柔軟に変えられるというように、「働きやすい」「復帰しやすい」という働き方としてメリットのあるものです。

また、根底的な考え方として「テレワーク」が働き方の選択肢となり、多様な働き方ができることで生産性を高めるための良い手段になりえると考えています。

つまり、「選べる」ことが正しい柔軟性だと言えます。「毎日出社し続けなければならない」「(緊急時なので)自宅にこもらなければならない」と選べない状態では生産性を高めることができません。

ワウテック株式会社 代表取締役 瀬沼悠(以下、「ワウテック 瀬沼」):

当社は従来から制度としてテレワークを自由に取得できるため、大きな変化はありませんでした。

しかし、緊急事態宣言下において半ば強制的に全員がテレワークとなったタイミングで、石井様がおっしゃるように、「出社」か「テレワーク」かどちらかに偏ってしまうことで、100%のパフォーマンスを発揮しきるのは難しいと感じたのが今回の大きな気付きでした。テレワーク一択となってしまったタイミングで、「出社すればできることがあるのに」といった声を現場から聞くこともありました。

例えば、営業活動においては石井様と同じく、従来は対面が前提として資料等の準備をしていたためオンラインでの商談への仕組み作りの必要がありました。

未曾有の緊急事態により企業の「テレワーク制度導入」への適応は進むのか?

ワウテック 高野:

より現場に近い観点から言えば、メンバー自身の意識がすごく変わったように思います。ワウテックはもともとテレワークが取りやすい環境ですが、緊急事態宣言下のテレワークを経たことで「出社して仲間と顔を合わせる安心感」が自然とあるようで。

先程、瀬沼からもあったように、「出社すれば自粛中にできなかった仕事ができる」という意識もあったと思います。

全員が完全にテレワークになることによって、言えない不安というのがあるのかもしれません。その一方で従来からテレワークを取得しているメンバーたちはそこまでストレスを感じていなかったようです。

そこで、石井様にお聞きしたいのですが、緊急事態宣言による“ほぼ強制的なテレワーク”という環境は、働き方の最適化を急がないと人材雇用など、周辺の要因にも影響がでる可能性はありますか?

WORK SMILE LABO 石井 様:

当社も、もともとテレワークが選択できるという働き方の土台があったわけですが、まだまだ整備が完璧ではありませんでした。私たちの会社の場合、技術職のメンバー、倉庫で商品を納品するメンバーと、出社が必要になる業務も多々あるため、積極的に取得するメンバーとそうでないメンバーもそれぞれでした。

ただ、セミナーでお客様にも伝えていることなのですが「(テレワークを実施できない)理由は山ほど言える」のです。業務の種類だけではなく、通信速度や家族等の同居人が在宅で集中しづらいというように、自宅の環境などもできない理由になります。

しかし、実施する前提で物事を考えなければ働き方をより良く変化させていくことは難しいと思っています。そこで新型コロナウイルスの影響で、ほぼ強制的なテレワーク環境になった。

「やる前提で物事を考える」という点に関して、面白い発見がありました。出社が必要な業務に関しては交代制にしたのですが、スタート直後はその枠を超えて半数くらいの社員が出社していました。ところが、1週間経つ頃にはオフィスに従業員の10分の1の3人程度になりました。当初は、みんな「出社しないと不安」に感じていたみたいなのです。この現象は、交代制を維持しつつテレワーク環境になって初めてわかったことでした。

ワウテック 高野:

多くの企業が同様に、テレワーク環境へ強制的に切り替えてらっしゃると思いますが、WORK SMILE LABO様の事例のようにテレワークの適応は進むと思いますか?

WORK SMILE LABO 石井 様:

当社の場合、テレワークに適した業務ツール等が揃っており運用がなされていたことで、踏み切るだけだったというのがあります。やはり、自粛が終わり通常どおりに外出ができる状態になれば、「元どおり」という会社が多く出てくると思いますよ。

ツールや働く環境が整っていない場合、本当の意味で「便利」で「生産性の高い」テレワークを体感することができないからです。これには、惜しいな……と思いました。

ワウテック株式会社 代表取締役 瀬沼悠

ワウテック 瀬沼:

おっしゃるとおり、この機会にテレワークの良さを感じる企業とそうでない企業が分かれるタイミングだと思います。経営者として感じるのは、この状況が長引いたとしても、否応なしに働き方を変革させなければいけないということ。

本質的に「働くこと」を考えなければいけないと感じました。もともとテレワークに限らず、「働き方改革」は数年前から全国的なキーワードとして取り上げられているとは思いますが、実際はそこまで進んでいないと感じています。

しかしながら、この緊急的な状況下において、働き方を変えなければ経営が難しくなる企業が増加するのも事実です。仮に完全に収束したとしても、制度をはじめ、テレワークが選択可能といった選択肢を維持しなければと思いますし、今後も何が起こるかわからない時代にいかに適応していくかが重要です。

もちろん、収束後の揺り戻しではないですが、「元どおり」になることも容易に想像できます。その時、同僚同士で交わされる会話が「テレワークって非効率だよね」という話になってしまうのはもったいないと感じてしまいます。

テレワークが持つ大きな可能性を「先延ばし」にしてしまう要因にもなってしまいますから……。

今年、WORK SMILE LABO様、ワウテックが共に受賞した「日本テレワーク協会 第 20 回テレワーク推進賞受賞企業」の授賞式では、日本テレワーク協会 会長 加藤薰さんが「テレワークをするという言葉が無くなるくらい、当然の事にしていきたい」とおっしゃっていたのが今も心に残っていて、現在こうした状況で基本的な働き方として組み込まれていけば良いなと思っています。

参考:
テレワーク実施の効果を高める!ビジネスチャット「WowTalk」を開発・提供するワウテックが「テレワーク促進部門 奨励賞」を受賞 - WowTech | ワウテック株式会社

「働き方改革」に向けて企業が踏み切れない要因は・・・

ワウテック 高野:

先程のお話にも挙がりましたが、「働き方改革」が長い間叫ばれているのに現実として進んでいないという状況が、緊急事態宣言によって急遽加速したように感じています。この要因はそのほかに、何が考えられるでしょうか?

ワウテック 瀬沼:

シンプルかつ様々な会社からお話を伺う上でよく挙がるのは、やはり「出社前提の働き方をそのまま在宅に持ち込む」ように、今までの働き方から本質的に考え方が変わっていないことが行動として反映されてしまい、その結果上手くいかないというのがあると思います。

環境の整備はもちろん重要なのですが、ただ働き方を変えるのではなく、何に対して仕事をするのか、どこを目指して仕事をするのか「考え方」から変えていかないと難しいと思います。

WORK SMILE LABO 石井 様:

私も瀬沼さんのおっしゃるとおりで、働き方の本質が理解されていないことが大きいと思います。働き方改革関連法には、長時間労働是正のための残業時間の削減などがありますが、これをメディア等が打ち出しすぎて、そこに影響されてしまう。

これは、あくまで働き方改革のための手段にすぎません。本来は、日本という国のGDPをいかに上げるかが目的であり、そこに一人あたりの生産性の向上、そして、眠っている労働人口をどう増やすか、という手段がひも付きます。女性の活躍などもそこに含まれてきます。

そこで初めて、出社と在宅が“選べる”という意味でテレワークの促進があるという話なんですよね。ここが正しく理解されていないがために、残業の規制などが優先されてしまう。

働き方改革のセミナーなども各業界、各地で沢山行われていますが、その多くは上記の法律に対する「対策」になっているものも存在します。法律対策だけをテコ入れしては、かえって逆効果になってしまうことも考えられます。そこも含めて、本質的な目的から理解を得ることがまず必要だと思います。

ワウテック 高野:

働き方改革を進める目的から理解をして、行動を変えていくことが大切ですね。

「変わる」のではなく「新たなスタンダード」が増えるアフターコロナの働き方

WORK SMILE LABO 石井 様:

はい。特に中小企業においては、社長の声がそのまま仕事に反映される場面もあります。社長が正しく理解していなければ、何も進まないこともあります。こういった未曾有の事態が起きたことでどのように変化していくか、注意深く見ていきたいです。

今、世の中が変わる大きなチャンスだと思っているんです。経済的にももちろん不景気になってしまうのは当然だと思います。ただ、今までどおりに進めても上手く行かないことが確実にわかっている。

自粛ムードが収束したことで揺り戻しが起こることを踏まえると、働き方が「変化」する
というより「スタンダードが増える」と思うんです。

自社の事例でいうと、人材採用において面白い出来事がありました。岡山の企業なので、従来は新卒採用の時期は合同説明会のために首都圏に出て、プレゼンして学生を集めるといったことをしていたのですが、緊急事態宣言と重なったことで対面での合同説明会は中止に。そこで、大手の人材採用会社はオンラインに切り替えたんですね。

すると、普通に合同説明会を開催していたら出会えないような学生と接点を持つことができたり、会社への質問などもチャット等でどんどんもらえるようになったり。会社としても採用コストが下がるし、学生にとっても気軽に企業とコンタクトが取れるので非常に良い出来事だと思いました。

その一方で、ローカルの人材採用会社はオフラインで対面式の合同説明会を開いたんです。すると、違いは明らかだと思いますが全然学生が集まらなかったそうです。この瞬間に新たなスタンダードが生まれたと確信しました。

もちろん、今後オンラインに集約されるとは思っていませんが、オンラインとオフラインの両軸で採用は進むと思っています。学生たちも、オンラインで企業情報を集め、効率とスピード感を持って新卒採用に向かうと思っています。

ワウテック 高野:

こういった人材採用のオンライン化、そしてオフラインとの両立という事例がすでに起きているというお話を伺うと、冒頭にも挙がった「営業活動」においてもスタンダードが増えますよね。その点、「対面が必要」だったものは今後、どのように変わると思いますか?

ワウテック 瀬沼:

テレワークや採用という話と同じ流れで、営業活動においても新たな選択肢としてオンラインが今後も増加すると思います。ただ、「展示会」などはオンラインでどこまで成立するか、各社が実験している段階でもあると思います。

小規模なセミナー活動などは、Web会議ツールを使ったウェビナー形式で成立すると思うのですが、大規模展示会のような大人数かつ双方向的なやり取りがなされる場に対する新しいスタンダードは今後も模索されていくと思います。

展示会に関しても、現状はコロナが収束するまでは「中止」となる場合が多いと思いますが、やはりそこでしか出会えない方々もいます。

そこに価値を感じているのでこれを代替するのではなく、そこで出会えた人たちと今後どのように接点を作っていくのか、選択肢に合わせて柔軟に取り組んでいきたいです。

石井様は、緊急事態宣言下にウェビナーへ一斉シフトしたというお話がありましたが、その中で課題であったり、今後の可能性など感じていることはありますか?

WORK SMILE LABO 石井 様:

オンラインで完結するセミナーという、価値観がまだ世の中としてスタンダードになっていないのが課題ですね。ここをどうやって広めていくか、先進的な事例をどんどん作ってそれをお客様に共有していくということが大切になると思っています。

ウェビナーだけでなく、テレワークなどの働き方にも言えることですが、「オフラインからオンラインへ」というのが大きな柱だと思います。会社の中で環境を整備するというのは、ほぼイコールとして会社のICT化の促進です。

当社は、実際にツールなどを試し、成功体験をもとにお客様へ事例を共有していく取り組みをしていますから、ウェビナーに関しても積極的に取り組みつつ事例を作り、会社のICT化が非常に有益だと皆様に伝えていきたいと思っています。

ワウテック 高野:

従来の業務にクラウドツールを導入することで、その転換期に感じた負荷をどのようにして乗り切ってきたのでしょうか?

WORK SMILE LABO 石井 様:

新しいツールを導入しようとすれば、反発するメンバーが出てくるのは“あるある”じゃないですか。「前のやり方のほうが良い」といった声が挙がるものです。そこで、先にもお伝えしましたが「変わらなくていい理由を探し、言う人」がいるのは当然です。

僕らの場合は、事業として積極的に自分たちで使おうという考え方なので、前提があるのですが、踏み切れない企業様には「スモールスタートで始めてみましょう」とお伝えしています。

全員にツールを導入すると反発があるばかりか、使われない可能性だってあります。従来のやり方で進めたいひとはそうすればいいけれど、使いたい人だけまず使って自社内に事例と知見を貯めることが大切だと思います。

>>後編は近日公開予定

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